さて、豪華な顔ぶれがそろった記者会見の中身だが、プレスシートに書いてあることを繰り返したような、やや優等生的質疑応答に終始した。
 もっとも、テレビにとっては、文字に書いてあることを御本人の口から言ってもらわないことには絵にならないので、ある程度は仕方ないだろう。私だって、本人の声色で聞きたい。
 それにしても……誰かもっと (上品に、かつ中身濃く ) 突っ込んでくれ〜、監督、もっと遊んでくれ〜。と、つい他力本願なわがままが……。
 うむ。いつでもティム・バートンやコーエン兄弟の記者会見みたいなエンターテイメントを期待してはいけないのだ。

 そう、まさに最初の質問は、「ティム・バートンが創りあげた世界と違うものを創るプレッシャーはなかったか」というような突っ込みだった。
「来たな」
 ……とは言わなかったが、ノーランやベール、ワーナー・ブラザースにとって、これは想定された「攻撃」だったにちがいない。日本ではまったく当たらなかったし、ごく一部にしか受けなかったバートン版だが、アメリカでは記録的なヒットを飛ばしているのだ。
 ノーラン監督は、「バートンの作品はビジュアルは素晴らしいが、私が知っている原作コミックのバットマンではないと思った」と明言。バートン版に敬意を表しつつ、「フレッシュな作品をつくりたかった」 という彼は、「フレッシュな目で見てほしい」 と締めくくった。

 また、「4代目のバットマンとして、先代の俳優たちを意識することは?」と訊かれたベールは、「どの作品も観ているが、 ( どのバットマンの表現にも ) 納得できなかったし、興味深い (interesting) とは思えなかった。役作りのために過去の作品をもう一度観たりしなかった」と、きっぱり。
誰かがケイティを笑わせ、ケン・ワタナベを怒らせた?
違います。
ここは監督、プロデューサー、俳優の入場から挨拶までの場面。
さほど面白い波乱が起きるわけではありません。

ううむ、完全武装である。
もちろん、本音にはちがいない。ノーランやベールにしてみれば、
「ったく、うっとーしいなぁ。しのごのぬかさず、俺のバットマンを見てくれよ!」と言いたいところだろう。

 いや、毅然として潔い応答が聞けてよかったのだが、
バットマンが魅力的なのは、やましさを抱えるヒーローだからさ」( ノーラン )
というプロダクションノートに書かれているような、血の通った言葉を聞いた気がしない。
シナリオどおりに進む舞台劇を見ているような気分だ。「その話はこれでおしまい!」と突っぱねられたような……。
 しかし、渡された資料はかなり充実しており、
セット撮影の多用を避け、ロケーションを重視したという具体的な映像づくりについて、
ノーランの嗜好なども書かれているので、今日の会見はそのダイジェストと心得たほうがいいのかもしれない。


スチルカメラの撮影は、最初の入場から挨拶までと、
最後のフォトセッションの2回。
質疑応答の最中は撮ってはいけない。
変化に乏しい場面ですが、ブロマイドとは違う
チャーミングな瞬間を狙い、
カメラマンたちは虎視眈々と眼を光らせているのです。
そう、私のような「にわかカメラマン」でさえ。


映画の中では七つの顔を見せてくれた
クリスチャン・ベール――
どのマスクで登場するか
わくわくしていましたが、
私的にいちばん得点の高い
「放浪するキリスト」の顔でした。





誰かが挨拶をしている最中に
私語を交わすふたり。
なごやかな雰囲気であります。

 各社一問と限定されている状況で、同じような質問をするところもある。
 マータイさんではないが、もったいない!
 パープーな質問もなかった代わり、味な質問もなかった……って自分で質問しろよって。すみません。あたし、パープーな質問専門なんです。

 ただ、出演者への質問は「おらが国の星・渡辺謙」に集中したりしないかと、ひやひやしていたが、これは節度ある会見となった。もちろん、謙さんは今や世界的スターだし、よしんば世界が知らなくても、大輪の華だからして、質問が殺到してもおかしくないのだけれど、他の名優を無視して一点に集中したりしようもんなら、贔屓の引き倒しだ。
( よく旬なアイドルがいたりすると、「こっちにも名優がいるのに〜!」と見ちゃらんない会見が多いですもの。大人の会見でしたよ、この点では )。

 

   




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