どの新聞や雑誌、ネットでも書いてあるように、ノーランがこの映画で心がけたのは、「リアルに、あくまでリアルに」。
 それがセット撮影の多用を避けたロケーション撮影であり、グリーンスクリーンを使わなかったバットマンの飛行場面であり、無骨とも思えるバットモービル( 戦車!)だ。
 そして、何故、バットマンは蝙蝠のコスプレでなければならなかったか、という設定。
 バットマンのお耳はなんでそんなに尖っているの?にも、すべてリアルな答えがある。
 このリアルとは、「もっともらしい」と言い換えてもいいだろう。

 ここで正直な感想を言わせてください……あたしはリチャード・ドナーの『スーパーマン』も、ティム・バートンの『バットマン』も、サム・ライミの『スパイダーマン』も同じようにリアルだと思っている。それぞれのリアルは多少、方法論が違うだけ。どの「もっともらしさ」も肌に合う。好きだ。
 ノーランの「リアル」も悪くない。大作感を出すロケーション撮影や、「これはバットマンのお話じゃないの!?」と、とまどうほど大真面目な冒頭の展開もいい、すごくいい。
 ただ、ちょっと、理屈にこだわりすぎたのか、「嬉しくなるようなもっともらしさ」より「苦しいこじつけ」が目立つ。行間がない。真面目すぎる。そこらへんは、目をつぶらないと、やや窮屈……だったな。



プチ・セクシーショット?
女優さんはうつむいた瞬間や、
髪をかきあげる瞬間などが美しいのです。

batman begins press interview katie holmes  『バットマン ビギンズ』来日記者会見 ケイティ・ホームズ
batman begins press interview watanabe ken  『バットマン ビギンズ』来日記者会見 渡辺謙
 バットマン、またはヒーローというものに対する思い、この映画に出演する動機、自分の役柄についてなどの質問が寄せられる。

 今日は通訳がいらなくて優越感あるなぁ、などと冗談を飛ばしていた渡辺謙は、「特異な黒いヒーロー」のかっこよさを語った。
 爆発場面では、頭から大量の埃をかぶるというアクシデントもあり、「スペシャルエフェクトのクルーとは仲良くしておかなくちゃな」と謙さん ( つい「謙さん」と書いててしまうのは何故……)。
 また、『ラスト・サムライ』のときは日本を背中に意識していたが、今回はノーランに一俳優として呼ばれた。みんなと一緒にこの作品を持ってきましたという気持ちで明日のワールドプレミアに臨みたい、とも。
 影の同盟のリーダー、ラス・アル・グールについては、「自分の中にある闇や苦しみをキャラクターに乗っけられたら」と言う。さらりと仰いますね、苦しみ、と。苦労人です。
ラスト・サムライ』で助演男優賞にノミネートされたアカデミー賞授賞式のインタビューでは、「僕の顔は中近東あたりまでならカバーできますから」と笑っていた謙さんだが、もしかしてあの時点では、原作どおり中近東出身の悪役を演じる心づもりでいたのでは……?
 本音のところ、「怪しい東洋人」ではない国崩しの大敵(おおがたき)を演じたかったのではないかな……などと思うのは余計なお世話だったか。晴れやかな笑顔を見ていると、少なくとも、彼が思いきり楽しんで演じたのがわかる。
 ハリウッドがこの先、ケン・ワタナベを、『バレット・モンク』の發仔(チョウ・ユンファ様)のような無駄遣いしないことを祈ります。
batman begins press interview morgan freeman & liam neeson & watanabe ken & katie holmes 『バットマン ビギンズ』来日記者会見 モーガン・フリーマンとリーアム・ニーソンと渡辺謙とケイティ・ホームズ

 控えめなケイティは、「私にも ( ヒロインと同じ ) 女性的な強さがあると自負しています」と、はにかんだ笑顔で頼もしい発言。劇中、このたおやかさで、しっかりブルースの顔をはたく。
 映画の中より実物のほうが数段美人!
「トム・クルーズの恋人」というのが枕詞になってしまったが、『エイプリルの七面鳥』のケイティ・ホームズと紹介すべきだった。

私のところには悪役のオファーはまず来ないんです」というリーアム。ヘンリー・デュカードは、ほとんどスター・ウォーズのジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンとかぶるキャラ。ブルースを導く導師である。( スペルを見るかぎり、アンリ or エンリ・デュカールではないかと思うのだが…… )

 ここで訊きたかった、何故、『エピソード3』には×××なんですか?と。ご自身もかつて『ダークマン』という暗〜いヒーローを演じてらっしゃいますが、と切り出したかった……理性で抑えた。

アイルランドで育った私にとって、バットマンはむしろ怖い存在で、ヒーローではなかった。それは、彼が超能力を持たない普通の人間だからかもしれない」

 と、 ここでやや芝居ががって声を落としたリーアム、
私のお薦めはスーパーマンです
( I recommend Superman.――そう聞こえたんですが、間違ってたらごめんなさい。&私のヒーローはスーパーマンでした、と訳すべきかな)」
リーアムの英単語、私みたいにヒアリングもシャベリングもできない人間でも、わりと聞きやすかったのです)。






 そしてリーアムから、「モーガン、きみはアイルランド育ちじゃないから、ちゃんと答えなきゃ駄目だよ」とバトンタッチされたモーガン。(最初の挨拶のとき、「日本に来られて嬉しいです」みたいなことを言ったリーアムのあとに、モーガンは「右に同じ」とラクをしたのだった
「透視ができるわけでなし、マジックリングも持たず、キャプテン・マーヴェルのように変身することもない、そんな超能力を持たないバットマンが好きだ」
私はブロックバスターに出たことがないんだ。『スター・ウォーズ』にも『スーパーマン』にも。以前、『スター・ウォーズ』でオビ=ワン・ケノービを演じたアレック・ギネスは、あの一本でそれまで出たすべての映画の出演料を稼いだと言っていた。今度は私の番だ!と思ったよ
 笑いの少ない記者会見で、ただひとり、ニコリともせず笑いを取り、さりげなくギャラの要求も口にするモーガン。素敵。本日の最優秀主演男優賞。

 バットアイテムを発明する役だが、「ご自身は発明することがお好きですか?」という突っ込みどころ満点な質問には、即答で「NO」。素敵。

質疑応答が終わり、最後のフォトセッション。
スクラム組んだBATMENに、
「3時の方向でお願いします!」
「謙さん、こっち向いてくださーい!」
「次はムービーカメラの方――」
「まだ左端が済んでないよっ!!」
「スチルの方、もう少し屈んでください!」
スターは笑顔ですが、
カメラマン席は
怒号飛び交うサッカー・スタジアムのような騒ぎ……。

batman begins press interview morgan freeman & liam neeson & watanabe ken & katie holmes & charles roven『バットマン ビギンズ』来日記者会見 モーガン・フリーマンとリーアム・ニーソンと渡辺謙とケイティ・ホームズとチャールズ・ローヴン

 ベールが、「僕は子供の頃、漫画を読まなかったんだ」と言うと、横からすかさずモーガンが、「彼はシェークスピアを読んでたんだよ」と突っ込む。イギリス人として、このテの突っ込みにうんざりしてるのかどうか、さらりとシカトしたベールくん( 何故、「くん」づけ? )、バットマンは子供時代のヒーローではなく、「僕にとってのヒーローは父だった」と言ってのけた。
「(怒りを抱えたきわどいヒーローを演じるにあたって)一線を越えないよう気をつけた。越えてしまうと、ただの悪役になってしまうから
 だいぶ改良されたとはいえ、バットマンスーツは暑いし、きついしで大変だったらしい。「7か月におよぶ撮影の間には、着たくない日もあるし、しまいには頭痛がしてきた」けれど、なんの頭痛ごとき、と耐えたそうだ。

バットマンスーツに身を包んだクリスの手袋の孔から、水道の水みたいに汗が流れるのを見て驚いた」というリーアム。マスター(師匠)、若きベールの役者魂に敬服する。

 ベールと同じくイギリス人のノーランは、C‐3POのような発音で語る(というのは大袈裟だが)。「バットマンに唯一、超能力と呼べるものがあるとすれば、それは財力だ。財力は善にも悪にもなりうる
 そう、途方もない財力はバットマンの魅力だ。水戸黄門の印籠、浅見光彦のお兄さん(警視総監?)、ブルースの金……卑怯な切り札は楽しい。
「所詮、バットマンはトラウマ抱えた金持ちのぼんの危ない道楽なんだよ」とは言ってくれなかったが、劇中、金にモノを言わせて道具をつくる過程は、説得力もあり、いっそ気持ちいい。
batman begins press interview christian bale &  morgan freeman 『バットマン ビギンズ』来日記者会見 クリスチャン・ベールとモーガン・フリーマン

フォックス×ブルースの図。
萌えたまえ諸君。
batman begins press interview christopher nolan & christian bale & morgan freeman & liam neeson & watanabe ken & katie holmes & charles roven『バットマン ビギンズ』来日記者会見 クリストファー・ノーランとクリスチャン・ベールとモーガン・フリーマンとリーアム・ニーソンと渡辺謙とケイティ・ホームズとチャールズ・ローヴン あっち向いてニコッ。
こっち向いてニコッ。
スターは大変です。



それにしても――
ここは巨人の惑星ですか……?
皆さん長身ですが、
ほんとにでかいアカデミー三人衆。
あたしゃもすこし背がほしい。

 

   




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