チャーリーとチョコレート工場』はミステリー小説や児童文学で知られるイギリスの作家ロアルド・ダールが1964年に発表した『チョコレート工場の秘密』が原作。イギリスでは『ハリー・ポッター』シリーズや『指輪物語』に並ぶ人気を誇るロングセラーだとか。
1971年にはメル・スチュアート監督、ジーン・ワイルダー主演で映画化され高い評価を受けている(日本では劇場未公開で、ビデオ・タイトルは『夢のチョコレート工場』。デップはこの映画が好きだったと言っている)。

そういえば、昔、『ロアルド・ダール劇場』という読みきりミステリー番組がテレビ東京で放送されていたっけ(制作は1979年、日本での放送は1980年)。ホスト役はダール自身だった。面白かったという記憶があるな。
ん、バートンがプロデュースしたストップ・モーション・アニメ『ジャイアント・ピーチ』(1996)も、ダールの『おばけ桃の冒険』が原作なんだ……。へぇ。

さて、バートンもデップも好きだったという人気のある名作を映像化しようと思ったきっかけを、プロデューサーのリチャード・D・ザナックが語った。

「もともとワーナー・ブラザース・スタジオが版権を持っていて、映画化の話が決まったとき、ティムと一緒に私もこのプロジェクトに参加することになったんだ。
スタジオの意向だけではなくて、私自身、是非ともこのプロジェクトに関りたいと思ったのは、ロアルド・ダールが何年も前に書いた傑作と、ティムのようなイマジネーション豊かな人物とのコンビネーションから、素晴らしいエンターテイメントが生まれると思ったからだ。
それに、これは、とてもいい家族の物語だからね。親と子はどう接するべきかといったことが描かれているし……ダールの原作にもティムのテキストにも、“最後には素直で正直な良い子が勝つんですよ”という道徳的なメッセージがある」


世界中で愛されている原作のキャラクターを演じることは楽しかったか、あるいはプレッシャーだったかという質問に、デップが答えた。
「プレッシャーはむしろティムやリチャードのほうにあったと思う。僕はそれほどプレッシャーは感じなかったけれど……ロアルド・ダールの意図をきちんと映画化すること、彼の描いたキャラクターを忠実に演じることには深い責任を感じた。それから、彼の家族への責任も」

話題はデップの家族についても及んだ。撮影中、デップの子供たちもセットを訪れ、彼の専用トレーラーに遊びに来たが――。
「トレーラーのドアを開けたとき、僕はウォンカの扮装をしていた。それを見て、3歳になる子供は、3分半くらい口をあけていたよ」
と、そのときの子供の顔をしてみせる。
「トラウマになったかもしれないね。映画を観たあとにこう言ったよ。“パパ、すごくヘン(You are really weird)”」
以前、娘のために「カリブの海賊」を演じたというデップ、ここでも「よき父親」の一面をのぞかせた。
(ところで、このYou are really weirdは、劇中、ウォンカが言う台詞のもじり? まあ、どこといって、ごく一般的フレーズだから違うかも。ちなみに、劇中ではこのひと言がちょいと笑えます。「あんたに変人て言われたないわ!」っちゅう、感じでね)。



 ああもう、恨めしい、顎髭と重なるマイク!
ザナックにとっては、
「ティム・バートンにプレッシャーがかからないようにすることが、今回、私の最も重要な仕事だった」という。
「できるだけ会社( studio)やスポンサー(money)などから遠ざけて、想像力豊かなティムが望みどおりのものをつくれるよう、彼を守ることが私の任務だった」

私のmissionは
studioやmoneyを
ティムから遠ざけておくこと、
と語るドン・ザナック。

また、役づくりについて、デップは語る。
「ウォンカというキャラクターを自分の中でしっかりと見つければ、あとはOKだった。
ウォンカがどういう男で、どんな背景があるのかを、ティムとディスカッションし、まずは、子供番組の司会者のような話し方にしようと決めた。奇怪な調子で、ニューロティックな……こんな感じ」
と彼は、「Hello children, how are you today」と声色を真似てみせた。
(これが絶品! 『2001年』のHAL9000みたい。日本の子供番組はあんな喋り方しないぞ〜〜)。
「あと、クイズ番組のホストの独特な話し方もいいとかね」(ウォンカみのもんたバージョン?)
そうやって役をかためるまでの過程は大変だが、一度つくりあげてしまえば、楽だったということだ。

とはいえ、ウィリー・ウォンカの魅力について尋ねられると、
「わからない。だいたい、彼が魅力的かどうか、なんとも言えないな……」と困惑顔。会場は大笑い。

役へのアプローチという点では、バートンとジョン・オーガストの脚本が非常に丁寧に、また大胆につくりあげた、ウォンカのバックストーリーが役立ったという。
「おかげで、ウォンカがなぜこのような男になったのか、どこから来たのか、どんな子供時代を過ごしたかを知ることができた。彼が魅力的かどうかはさておいて、彼のバックストーリーは面白いと思ったよ」

原作のウィリー・ウォンカは白い髭を生やした老人で(ごめんなさい、これも未確認情報。原作を読んだエフエックスの高貴さんから聞いたのだけど、私はまだ読んでないの)、映画のようなバックストーリーはない。したがって、結末にも原作にはないエピソードが加えられた。


タイトルロールのチャーリーを演じたフレディ・ハイモアは、デップの推薦もあって決まった。アカデミー賞7部門にノミネートされた『ネバーランド』(2004)で、ハイモアはデップと共演している。
「フレディは僕たち全員のバー(水準)を上げたと思う」と、彼はハイモアを絶賛。「一生懸命だし、才能にも恵まれている。しかも、めちゃくちゃ可愛いんだ(super sweet)。普通の13歳らしいところもあるし、年より頭のいい子だな、という印象もあるね」

『ネバーランド』を見ていなかったというバートンだが、彼もハイモアに一目惚れした。
「入ってきたとたん、“この子だ!”と思った。チャーリーのようにシンプルな役を演じることはとても難しいんだよ。演技指導できるものじゃなくて、そういうパーソナリティーを備えていないと、シンプルさっていうのは出せないから」
とはいえ、感情表現も素晴らしいというハイモアは、もうひとつ、チャーリーに必要な資質を備えていた。
「貧乏な家の子だからね、やせ細っている必要がある。彼はぴったりの体格をしていた」


劇中、『2001年宇宙の旅』(1968)を思わせるシーンが登場するが、スタンリー・キューブリック監督へのオマージュなのかという質問に、バートンは、
「もちろん、キューブリックは偉大な監督だ。でも実は、あのシーンはハプニングなんだ。白いTVルームのセットをつくってみたら、『2001年』を彷彿させるセットができあがり、音を入れると、宇宙船の中にいる感じがした」
すぐに『2001年』の有名なシーンが浮かんだというバートンは、ごく自然に、板チョコをモノリスに見立てた。
「でも、テスト・スクリーニングで子供たちから、“いい映画だったけど、猿が出てくる場面はウソっぽかった”と酷評されたよ」

最近、なんでもオマージュって言うのね。パロディって言わないのかしら。



                              



 

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